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「妻を見送る」  告別式における司式者「告別の辞」
キリスト福音会代表  市川喜一

 故市川仁子とのお別れの場に、このように多くの親しい方がお集まりいただき、まことに有難うございました。仁子は生前、食卓での会話の時間などで、皆さまのご厚情に支えられて楽しい生涯を送れましたことを、心から感謝して語っていました。これからは、皆さまの楽しい思い出の中の一人として、皆さまの心の中に生きていくことと存じます。

 仁子と私は、わたしの大学院時代に信仰の交わりの中で知り合い結婚、式の後ただちにキリスト教の開拓伝道という困難な生涯に乗り出しました。女子大時代までなに不自由もない生活をしてきた彼女には、まことに厳しい日々であったことでしょう。しかし持ち前の明るい性格と、二人の使命の重大さの自覚から、何も苦情を言わず、三人の子供を懸命に育てながら、わたしの無償の伝道活動を支えてくれました。

 わたしが日本では福音の伝道活動という、地位も報酬もない仕事に専心し、また神学などの学問に情熱を注いで書斎に閉じこもることができ、三〇巻の信仰著作集を出版することができたのも、ひとえに仁子の働きのおかげです。わたしは今、三〇巻の著作集を霊前に供えて、仁子にお礼を言いたい心境です。

 仁子は、この国で寒さが最も厳しくなる日に天に召されましたが、仁子が召された天上の国は、神の恵み、限りない恩恵という暖気が満ちる国です。そこで再会できることを待ちながら、わたしたち地上に残された者は、父なる神への信仰、この愛なる父から受けた愛をもって互いに愛する愛、死の現実を超える復活の希望、このキリストにおいて賜る信・愛・望をもって生きてまいります。

   2023年 1月 26日

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