あとがき
本書はイエスの代表的な弟子であるペトロについて、新約聖書に証言されている範囲内で語った一書です。著者は若き日に聖書に接していながら、イエスの一番の弟子であるペトロについては書くことができませんでした。それは、ペトロにはパウロの場合のように明白な復活者イエスとの遭遇を報告する記事がなく、ペトロの使徒としての生涯を確信をもって書くことができなかったからです。それが今回、新約聖書がほとんど何も語っていないとされてきた過越祭から五旬祭まで五十日こそ、ペトロの原体験ともいうべき復活者イエスとの出会いの時であったことに気づき、ペトロについて書くことができるようになりました。