市川喜一著作集 > 第22巻 続・聖書百話 > まえがき

まえがき

 わたしは一九八六年以来、隔月刊の個人福音誌『天旅』を発行してきましたが、二〇〇二年の春に一〇〇号を数えるに至り、一〇〇号を記念し、それまでに『天旅』の巻頭言として書いてきた折々の短い所感文を集めて、『聖書百話』を刊行しました。それを第一巻として、その後『天旅』誌上に発表した福音講話の要約や新約聖書各巻の講解をまとめて次々と刊行し、二〇一二年の『天旅』誌の終刊までに、二〇巻からなる「市川喜一著作集」を完了しました。この著作集完了を一つの節目として、『天旅』誌一〇一号以降終刊までの巻頭言と、終刊以後に書きました短文を集めて百編として、この『続・聖書百話』を刊行する次第です。本書の刊行により、福音講話と新約聖書講解の二〇巻の前後を、『聖書百話』と『続・聖書百話』が取り囲むことになり、「市川喜一著作集」は全二二巻となります。
 本書の前半一〜四〇編は、『天旅』誌の終刊後、著者のホームページ上に「曙光」という題名で発表した所感短文集です。後半の四一編以降が『天旅』誌の一〇一号以降の巻頭言を集めた部分です(ただし第百編は例外です。これは本書の刊行にあたって最後に書かれたものです)。年代順では後半の『天旅』誌巻頭言集が先ですが、前半の「曙光」短文集は、福音によるキリスト信仰への過程とその基本的内容を、著者の個人的証言を交えて、やや体系的に構成しています。それで、これから聖書を読まれる方には、この部分が先にある方が適切かと考え、先に置きました。
 この短文集の百編の執筆は、二〇〇二年から二〇一四年の十数年にまたがり、その間、著者がどうしても今書いておきたいという思いに迫られて書いたものですから、その内容と標題として掲げている聖句に重複があります。それぞれの時期の著者の思いの証言として、お読みいただければ幸いです。 
 本書の各編は、見開き二頁に収めてあります。読者は本書のどこを開いても、見開きの二頁にひとまとまりの所感文をご覧になることになります。順序は問題ではありません。目次を見て、関心のあるところを随時開かれるのも、本書にふさわしい読み方かもしれません。ただ前半は第一編から順次に読み進められるのも有益かもしれません。
 本書の各編が読者の信仰に役立つことを祈りつつ、お手元にお届けします。

二〇一四年 一一月
                    市 川 喜 一