市川喜一著作集 > 第11巻 パウロによるキリストの福音V > あとがき

あとがき

 本書は、著者の個人福音誌「天旅」に連載した「パウロによるキリストの福音」シリーズのコリント第二書簡、フィリピ書簡、フィレモン書簡の部分を一冊にまとめたものです。コリント第二書簡は二〇〇〇年2号から6号まで、フィリピ書簡は二〇〇一年1号から4号まで、フィレモン書簡は二〇〇一年5号に連載したものです。この中でコリント第二書簡は、「天旅」連載時のものにかなり補筆して改訂し、また、執筆時の状況に即して解説するために、三つの手紙に分けて配置するなど、かなりの変更を加えています。第七章「使徒パウロの最後の日々」は、「天旅」二〇〇五年1号に「パウロ以後のキリストの福音」シリーズの序章として書いたものを、この著作集「パウロによるキリストの福音」シリーズの最後に入れたものです。終章「諸国民への使徒パウロ」は、本書の出版にあたって新たに執筆しました。
 本著作集における「パウロによるキリストの福音」シリーズは、前著『パウロによるキリストの福音TおよびU』の「あとがき」に書きましたように、京都聖書学研究所における「新約原典研究会」での議論に、直接または間接に多くを負っています。この研究会で扱ったパウロ書簡はフィリピ書とローマ書だけですが、パウロ書簡のテキストについてなされた徹底的な議論は、著者のパウロ理解の大きな助けになっています。この研究会は現在、久野晋良氏(大阪経済大学名誉教授、ギリシア哲学)、私市元宏氏(甲南女子大学名誉教授、英文学・英米宗教史)、水垣渉氏(京都大学名誉教授、基督教学)および著者の四名で進められていますが、本書の出版にあたって改めて諸氏に深甚の謝意を表します。
 なお、今回も木内正一氏に校正の労をとっていただきました。その労に対して心からお礼を申し上げます。
 パウロ関連の地図を入れたいと願いながら、コンピュータによる地図作製の技術的な限界から、今回も果たせませんでした。どの聖書にも巻末につけられているパウロ関連の地図を参照しながらお読みくださるようにお願いします。

   二〇〇五年 三月
                    市 川 喜 一



  「市川喜一著作集」 第一期

1「聖書百話」(2002)      
2「キリスト信仰の諸相」(2002)
3「マルコ福音書講解T」(2002) 
4「マルコ福音書講解U」(2002)
5「神の信に生きる」 (2003)
6「マタイによる御国の福音―山上の説教講解」(2003)
7「マタイによるメシア・イエスの物語」(2003)
8「教会の外のキリスト」(2004)
9「パウロによるキリストの福音T」(2004)
10「パウロによるキリストの福音U」(2004)
11「パウロによるキリストの福音V」(2005)
12「パウロによる福音書―ローマ書講解 T」(2005)
13「パウロによる福音書―ローマ書講解 U」(2005)

  「市川喜一著作集」 第二期

14 「パウロ以後のキリストの福音」(2007)
15 「対話編・永遠の命―ヨハネ福音書講解T」(2006)
16 「対話編・永遠の命―ヨハネ福音書講解U」(2008)
17 「ルカ福音書講解T」(2009) 
18 「ルカ福音書講解U」(2011)
19 「ルカ福音書講解V」(2013)
20 「福音の史的展開T」(2010)
21 「福音の史的展開U」(2012)
22 「続・聖書百話」(2014)